日本労働会館の設立
1928年(昭和3年)7月、日本労働総同盟関東労働同盟会第6回大会は、労働会館の建設を決議、組織を挙げてその募金活動に取り組んだ。
昭和恐慌下の困難な情勢のなかで,「タバコ1日1箱、コーヒー1杯を倹約して我等の会館建設を!」との組合員の熱意が実り1930年(昭和5年)8月に、友愛会結成以来、本部、産別組合の本部事務所として使ってきた惟一館の土地、建物が購入できた。
翌年6月から大改造に取り掛かり、8月に新装なった日本労働会館が落成した。この日本労働会館維持、管理、運営のために財団法人日本労働会館の設立が計画され1931年(昭和6年4月23日に財団法人設立の申請が内務、文部両大臣宛に出され、8月17日付で認可された。
こうして発足した財団の初代理事長には、総同盟関東労働同盟会長、会館建設委員長であり、財団設立申請人であった松岡駒吉が就任し、理事、評議員などの役員に関東労働同盟会傘下の組合の代表が就任した。日本労働会館の前身の建物・惟一館はわが国社会運動、労働運動の発祥の地、場所であった。
日本最初の無産政党である社会民主党の設立計画もこの会館でなされるなど明治社会主義運動が育まれ、安倍磯雄、堺利彦、幸徳秋水、片山潜らが出入りした。総同盟の前身である友愛会ーそれは総同盟、評議会、戦後の総同盟、総評、さらには同盟、連合へと連なる日本労働組合の源流であるーが結成されたのもこの場所である。
こうした由緒ある建物、土地に日本労働会館が建設され、財団法人日本労働会館が発足したのである。